ブルーオーシャン戦略に関する誤解

ブルーオーシャンシフトの最後の特別付録を執筆させていただき、その過程でチャンキム教授にブルーオーシャン戦略の何たるかを、INSEADの授業中以上に詳しく伺う機会があった。この経験に基づき、日本で流布している”ブルーオーシャン”の使い方の間違いについて、今後コラムで書いていきたいと思う。

まずよくある誤解が、”競争がない市場がブルーオーシャン”というもの。いやそんな市場あるわけないでしょうと。これはNon-Competingという英語を、”競争がない”と訳してしまったから、こう広まったのだと思われる。正確なニュアンスは”同じ競争軸で競争ばかりするのではなく、新しい価値の組み合わせを生み出すことに注力しよう”というニュアンスが正しいのだが、「競争がない市場=ブルーオーシャン」と、、大いなる誤解を招く結果となった。

次にあるブルーオーシャン戦略の誤解が、「一回ブルーオーシャン戦略を実行したら、それでOK」というもの。いや、魔法の杖じゃあるまいし、そんなわけないでしょうと。たまに「ブルーオーシャン戦略を実行した企業として紹介された企業が、その後業績不振におちいった。やはりブルーオーシャン戦略はダメだ」という評価だが、チャンキム教授、レネモボルニュ教授は、ブルーオーシャン戦略を一度実行したらそれですべて解決、などとは一言も言っていない。むしろ明示的に、ブルーオーシャン戦略とは継続的に繰り返すプロセスであり、ブルーに移動したものが徐々にピンクになり、それがレッドに変わっていくのが当然なのだから、そうならないよう常にブルーオーシャンに移行するプロセスを体系的に続ける重要性を主張されている。

三つ目によくある、ブルーオーシャン戦略に纏わる誤解が「新しい市場がブルーオーシャン」というものだ。これはある意味正しく、ある意味誤解である。ある意味正しいというのは、提供価値の組み合わせを変えるという意味では、新しい市場だということ。ある意味誤解だというのは、提供価値のうち一部ないしかなりの部分は、既存市場で提供されている価値も含まれているということである。

今回は初回なので、ブルーオーシャン戦略に関するいくつかの誤解の頭出しにとどめておくが、今後、おそらく日本語を操るものの中で最も「ブルーオーシャン戦略」「ブルーオーシャンシフト」の著者の指導を何度も受けた者として、その正確な内容をお伝えしていきたいと思う。

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